英語タイトル: Comparison of Gait in Patients Following a Computer-Navigated Minimally Invasive Anterior Approach and a Conventional Posterolateral Approach for Total Hip Arthroplasty: A Randomized Controlled Trial
著者: Reininga IH, et al. (オランダ)
雑誌名: J Orthop Res. 2013.
PMID : 22886805
キーワード:
THA; 人工股関節全置換
surgical approach; 手術アプローチ
minimally invasive; 低侵襲
computer navigation; コンピュータナビゲーション
gait analysis; 歩行分析
術後回復を最大化する為に低侵襲のTHAが行われています。
この文献では、コンピュータナビによるTHA手術と、従来の後方アプローチ手術のどちらの方が、身体機能の回復が良好であるかを比較しています(RCT)。
・被験者は35名のコンピュータナビ前方THAと、40名の従来の後方THA。
・術後、6週間後、3か月後、6か月後それぞれで歩行分析システムによる評価を実施し、歩行速度、ステップ長、ケイデンス、前額面上の骨盤と胸郭の運動角度などが評価された。また、同様の評価を30名の健常者でも調査した。
・結果、どちらの群とも時空間パラメーターや骨盤・胸郭角度には差が見られなかった。
従来の報告では、コンピュータナビ前方THAが従来の後方アプローチよりも良いとの報告があるが、著者らはこれらの文献に対し、術前のマッチングが不足している事などをあげている。
また、今回骨盤角度の改善は手術の違いではなく、リハビリテーション実施中に改善が見られていた事を報告している。
あくまで個人の仮説だが、この論文は以下の様に色々な事が考えられる。
・従来の手術も相当に高いレベルで行われており、術後手術による影響で機能低下が起こるような事がなかったのではないか?
・コンピュータナビ前方THAの手術スキルがどれ位必要なのか?
・前方、後方による、リハビリテーションの違いはあったのか?
ーーーーーーーー
前方アプローチの優位性は臨書的に良く感じるが、後方アプローチと大きくは変わらないという結果は驚きでした。他の論文も探していく必要がありますね。
2016年10月16日日曜日
2016年10月15日土曜日
パーキンソン病患者における振戦型か姿勢不安定歩行障害型かによる脳活動の違いは何か?
英語タイトル: Different Patterns of Spontaneous Brain Activity between Tremor-Dominant and Postural Instability/Gait Difficulty Subtypes of Parkinson's Disease: A Resting-State fMRI Study
著者: Chen HM, et al.
雑誌名: CNS Neurosci Ther. 2015.
PMID : 26387576
パーキンソン病の中でも、振戦が優位なタイプか、姿勢不安定性や歩行障害が優位に生じるタイプかによって臨床像が大きく異なりますね。
いわゆる体軸症状を呈する姿勢不安定歩行障害型では、振戦タイプよりもドーパン剤や脳刺激療法が功を奏しにくい事が分かっているそうです。
著者らはこれらの背後に潜む神経活動をタイプ別に調査しようと試みました。
参加者は31名のPD患者(うち12名は振戦タイプ、19名は姿勢不安定歩行障害タイプ)で、同年齢の健常者をコントロールとしています。
彼らはファンクショナルMRIを用いて、安静時における低周波電磁波の振幅変動を調べました。
コントロール群と比べて、振戦タイプの右側小脳皮質後部において振幅が増加しており、バランス障害タイプでは両側被殻と小脳皮質後部の振幅が低下し、上下の側頭回、上前頭葉、頭頂葉などの皮質活動が増加していたそうです。
振戦タイプはバランス障害タイプに比べて、両側被殻と小脳皮質後部の振幅が高く、両側の側頭回、左頭頂葉などの皮質活動は低かったそうです。
また、全て患者において両側小脳皮質後部の振幅増加が振戦スコアと関連し、両側被殻や振幅低下と関連したそうです(下図↓)。
被殻の活動低下がバランス低下と関連するのは何と無くイメージがつきますが、安静時の小脳の活動が振戦と関連しているというのは驚きですね。
著者: Chen HM, et al.
雑誌名: CNS Neurosci Ther. 2015.
PMID : 26387576
パーキンソン病の中でも、振戦が優位なタイプか、姿勢不安定性や歩行障害が優位に生じるタイプかによって臨床像が大きく異なりますね。
いわゆる体軸症状を呈する姿勢不安定歩行障害型では、振戦タイプよりもドーパン剤や脳刺激療法が功を奏しにくい事が分かっているそうです。
著者らはこれらの背後に潜む神経活動をタイプ別に調査しようと試みました。
参加者は31名のPD患者(うち12名は振戦タイプ、19名は姿勢不安定歩行障害タイプ)で、同年齢の健常者をコントロールとしています。
彼らはファンクショナルMRIを用いて、安静時における低周波電磁波の振幅変動を調べました。
コントロール群と比べて、振戦タイプの右側小脳皮質後部において振幅が増加しており、バランス障害タイプでは両側被殻と小脳皮質後部の振幅が低下し、上下の側頭回、上前頭葉、頭頂葉などの皮質活動が増加していたそうです。
振戦タイプはバランス障害タイプに比べて、両側被殻と小脳皮質後部の振幅が高く、両側の側頭回、左頭頂葉などの皮質活動は低かったそうです。
また、全て患者において両側小脳皮質後部の振幅増加が振戦スコアと関連し、両側被殻や振幅低下と関連したそうです(下図↓)。
被殻の活動低下がバランス低下と関連するのは何と無くイメージがつきますが、安静時の小脳の活動が振戦と関連しているというのは驚きですね。
2016年10月14日金曜日
英単語の勉強方法
英単語の覚え方
英単語を覚えるには確かなコツがあります。
自分の英単語レベルは10000〜12000程度で大したことはありませんが、短期記憶に難がある自分がここまで覚える事には大変苦労し、様々な方法を試してきました。
今日はそんな事について自分なりの意見を伝えて行きたいと思います。
英語を勉強する方は、多かれ少なかれ以下の様な単語の壁にぶち当たると思います。
①そもそも英単語に興味がない。
②英単語を覚える作業が退屈。
③覚えてもすぐに忘れてしまう。
④上達感が無い。
⑤この単語いつ使うんだ?と頻回に思う。
これらの問題は全て解決しきれるものではありませんが、自分が感じている効率的な英単語学習方法を以下にお伝えします。
・英単語は繰り返し見たり聞いたり使ったりする中で覚えられるものなので、一回で完璧に覚えようとしない。
→毎日、町を歩けば人に会いますが、それぞれの人の顔を完璧に記憶している人は少ないでしょう。しかし頻繁に会う人については、名前はわからなくても顔は覚えてしまうでしょう(毎朝の通勤で出会う人など)。英単語の学習はこの様な現象に良く似ています。単語を覚えるのであれば週に2回程度新しい単語と顔合わせしておくのが大切です。この時、完璧に記憶しようと気張ると覚えられない自分自身に対して非常に疲れてしまうので逆効果です。最初は全然分からなくても問題ありません。複数回単語を見る事で徐々に鮮明にイメージできる様になります。つまり単語学習において、短期記憶の良し悪しは余り関係ないのです。それよりも覚えたものを忘れない様に繰り返し出会う作業の方が大切なのです。長期記憶になってしまえば、こっちのものです。
以下は品詞別の覚え方について述べます。
・名詞はほぼ全てGoogleの写真を使って、イメージとして覚える。形容詞は名詞にくっつけて覚える。
動詞や副詞はそれを使う事で覚えられる。
→例えばCrayfishとかいう名詞は
Crayfish=ザリガニ(の写真 or イメージ)で覚えると長期記憶に定着しやすいです。また、名詞はマジカルバナナの様な遊び(繋がりがある名詞を順番に挙げていく言葉遊び)で、言い換えながら覚えていくと効率が良いです。
例: Crayfish=Red=scavenger(腐肉を食べる動物)
こうするとCrayfishに付随してscavengerという名詞もセットで記憶する事ができ、記憶を引き出す際に楽になります。
これに形容詞をくっつけてしまうと、セットで形容詞まで覚えられます。例えば、Crayfishに、fierce(獰猛な)という形容詞をくっつけて、It's a fierce crayfish.と覚えてしまうのです。この時、誰かに説明するかの様に、It's a とか、That'sとかをつける様にしましょう。
動詞や副詞は基礎的なものから複雑なものまで、使いながらこなれる事が大切です。
例えば、説明時に頻繁に使う動詞としてstate(...を述べる) がありますが、この単語の意味だけを覚えるのは余り意味がありません。それよりも、He states that....(彼は....を述べている)の様に使うのが良いでしょう。clearlyのような副詞はHe clearly states that....のように動詞にくっつけて覚えると効率が非常に良いです。
単語学習は非常に退屈なので、1人で勉強していると、どこかで行き詰まってしまうでしょう。そんな時は、誰か第三者に解説や説明するように覚えるのがコツです。
その時、英単語そのものに興味がある必要はありません。英語はあくまで言葉なので、使う場面をリアルに考えると退屈しないで継続できます。赤ん坊のように使いながら覚えるのです。
以上の事が私が実践してきた学習方法です。参考になるかは分かりませんが、興味がある方は是非実践してみて下さいね!
2016年10月13日木曜日
パーキンソン病患者のバランス障害は何故生じるのか?
英語タイトル: Postural instability in idiopathic Parkinson's disease: the role of medication and unilateral pallidotomy
著者: Helen M. Bronte-Stewart(USA)
雑誌名: Brain (2002), 125, 2100-2114
PMID: 12183355
パーキンソン病ではヤールステージ分類のIII位になると姿勢不安定性を呈し、これを一般的にPostural instabilityと呼んでいます。
この論文では、Sensory Organization TestとUPDRSを用いてこれを明らかにしようとしています。
Sensory Organization Testは、余り聞きなれないテストバッテリーですが、体性感覚、視覚、前庭感覚の統合能力を見るためのものです。
テストはそれぞれの感覚を阻害する手法を用いており(目隠しなど)、被験者は重中心を測定出来る床の上に立って、動揺スコアが測定されます(下図↓)。
ちなみに、実験機器に対する学習性バイアスなどが低いそうです。
図: Sensory Organization Test
この図だけ見ると、HorakさんのBESTestを彷彿させますね。違いはメカを使っている所でしょうか。
この測定を用いて、オンオフ時のバランス機能を見ていきます。
結果、すべての症例がオフ時に姿勢・歩行不安定性スコアの異常値を呈していました。
Sensory Organization Testは、正常群と異常群とに分けられる結果となったそうですが、ほとんどの症例が感覚遮断時に異常な姿勢コントロールを呈したそうです。
薬剤療法によって姿勢・歩行不安定性スコアは改善しましたが、 Sensory Organization Testは悪化しました(姿勢動揺が大きくなった)。
淡蒼球破壊術では姿勢・歩行不安定性スコアも、Sensory Organization Testの結果も改善したそうです。
そのため著者らは外科的治療を薦めています。
また、著者らはこの論文の中で、バランス障害を姿勢コントロールの中枢性階層理論を用いて解説しています。
彼らの理論では、パーキンソン病患者の姿勢コントロールは感覚機構の処理過程が障害されることで、もはや"自律的"に働かなくなっていると言及しています。
バランスを保つ活動は、本来無意識的に起こるはずですが、これが難しくなってしまう事ですね。
また、"体性感覚フィードバックを(運動覚)を過少評価してしまう"と報告する過去の報告を引用しています。
これにより、パーキンソン病患者では適切やバランス保持が困難になる事を説明しています。
パーキンソン病における姿勢不安定性のメカニズムはとても複雑ですが、感覚の処理が上手くいってない事が1つの原因と考えると、どの様な感覚が障害されているのかみていく必要がありそうですね。
また、これは個人的な意見ですが、すくみが強いタイプ、ふらつきが強いタイプで感覚処理の違いがあるのかなども興味深いですね。
著者: Helen M. Bronte-Stewart(USA)
雑誌名: Brain (2002), 125, 2100-2114
PMID: 12183355
パーキンソン病ではヤールステージ分類のIII位になると姿勢不安定性を呈し、これを一般的にPostural instabilityと呼んでいます。
この論文では、Sensory Organization TestとUPDRSを用いてこれを明らかにしようとしています。
Sensory Organization Testは、余り聞きなれないテストバッテリーですが、体性感覚、視覚、前庭感覚の統合能力を見るためのものです。
テストはそれぞれの感覚を阻害する手法を用いており(目隠しなど)、被験者は重中心を測定出来る床の上に立って、動揺スコアが測定されます(下図↓)。
ちなみに、実験機器に対する学習性バイアスなどが低いそうです。
図: Sensory Organization Test
この図だけ見ると、HorakさんのBESTestを彷彿させますね。違いはメカを使っている所でしょうか。
この測定を用いて、オンオフ時のバランス機能を見ていきます。
結果、すべての症例がオフ時に姿勢・歩行不安定性スコアの異常値を呈していました。
Sensory Organization Testは、正常群と異常群とに分けられる結果となったそうですが、ほとんどの症例が感覚遮断時に異常な姿勢コントロールを呈したそうです。
薬剤療法によって姿勢・歩行不安定性スコアは改善しましたが、 Sensory Organization Testは悪化しました(姿勢動揺が大きくなった)。
淡蒼球破壊術では姿勢・歩行不安定性スコアも、Sensory Organization Testの結果も改善したそうです。
そのため著者らは外科的治療を薦めています。
また、著者らはこの論文の中で、バランス障害を姿勢コントロールの中枢性階層理論を用いて解説しています。
彼らの理論では、パーキンソン病患者の姿勢コントロールは感覚機構の処理過程が障害されることで、もはや"自律的"に働かなくなっていると言及しています。
バランスを保つ活動は、本来無意識的に起こるはずですが、これが難しくなってしまう事ですね。
また、"体性感覚フィードバックを(運動覚)を過少評価してしまう"と報告する過去の報告を引用しています。
これにより、パーキンソン病患者では適切やバランス保持が困難になる事を説明しています。
パーキンソン病における姿勢不安定性のメカニズムはとても複雑ですが、感覚の処理が上手くいってない事が1つの原因と考えると、どの様な感覚が障害されているのかみていく必要がありそうですね。
また、これは個人的な意見ですが、すくみが強いタイプ、ふらつきが強いタイプで感覚処理の違いがあるのかなども興味深いですね。
2016年10月12日水曜日
正常圧水頭症におけるバランス障害の原因は何か?②
英語タイトル: Gait dysfunction in Parkinson's disease and normal pressure hydrocephalus: a comparative study
著者: Paulo Bugalho et al.
雑誌名: J Neural Transm (2013)
PMID : 23334795
この論文は主にパーキンソン病患者と正常圧水頭症患者における歩行の特徴を調査する目的で書かれていますが、イントロの部分に興味深い引用文が書かれていたので、今日はそれを引用したいと思います。
《NPHの歩行障害とは?》
・In NPH, gait dysfunction is believed to be caused by compression of frontal cortico-subcortical connections associated with ventricular dilation (Fisher 1982).
→正常圧水頭症患者の歩行障害は、脳室膨張に伴って生じる前頭皮質-皮質下連結の圧迫によって引き起こされると考えられている。
・However, some studies have proposed that mesencephalic structures could also be affected in NPH, by expansion of the third ventricle (Curran and Lang 1994; Lee et al. 2005).
→一方で、いくつかの研究では、第三脳室拡大によって中脳構造が影響を受ける為と考えられている。
《パーキンソン病の歩行障害とは?》
・PD is a neurodegenerative disorder, caused by destruction of dopaminergic neurons in the substantia nigra.
→パーキンソン病は中脳黒質におけるドパミンニューロンが破壊される事によって生じる神経変性疾患である。
・Motor dysfunction is thought to be caused PD patients present with features that do not always respond to dopaminergic treatment, and are commonly attributed to frontal dysfunction, like disequilibrium and loss of postural responses (Thompson 2001).
→パーキンソン病患者が呈する運動障害は、ドパミン薬剤療法に対していつも反応する訳ではない。近年では、前頭葉機能による平衡機能障害や姿勢反応の減少などに起因していると考えられている。
《私見》
前回、正常圧水頭症患者では軸が変移してしまっているという論文を紹介しましたが、その原因には、上記のような原因がImpairment としてあるのかもしれませんね。
著者: Paulo Bugalho et al.
雑誌名: J Neural Transm (2013)
PMID : 23334795
この論文は主にパーキンソン病患者と正常圧水頭症患者における歩行の特徴を調査する目的で書かれていますが、イントロの部分に興味深い引用文が書かれていたので、今日はそれを引用したいと思います。
《NPHの歩行障害とは?》
・In NPH, gait dysfunction is believed to be caused by compression of frontal cortico-subcortical connections associated with ventricular dilation (Fisher 1982).
→正常圧水頭症患者の歩行障害は、脳室膨張に伴って生じる前頭皮質-皮質下連結の圧迫によって引き起こされると考えられている。
・However, some studies have proposed that mesencephalic structures could also be affected in NPH, by expansion of the third ventricle (Curran and Lang 1994; Lee et al. 2005).
→一方で、いくつかの研究では、第三脳室拡大によって中脳構造が影響を受ける為と考えられている。
《パーキンソン病の歩行障害とは?》
・PD is a neurodegenerative disorder, caused by destruction of dopaminergic neurons in the substantia nigra.
→パーキンソン病は中脳黒質におけるドパミンニューロンが破壊される事によって生じる神経変性疾患である。
・Motor dysfunction is thought to be caused PD patients present with features that do not always respond to dopaminergic treatment, and are commonly attributed to frontal dysfunction, like disequilibrium and loss of postural responses (Thompson 2001).
→パーキンソン病患者が呈する運動障害は、ドパミン薬剤療法に対していつも反応する訳ではない。近年では、前頭葉機能による平衡機能障害や姿勢反応の減少などに起因していると考えられている。
《私見》
前回、正常圧水頭症患者では軸が変移してしまっているという論文を紹介しましたが、その原因には、上記のような原因がImpairment としてあるのかもしれませんね。
2016年10月6日木曜日
小脳が関わる言語学習とは?
著者 : Moberget T, et al (ノルウェー)
雑誌名 : Ann N Y Acad Sci. 2016.
PMID : 27206249
Keywords:
cerebellum 小脳
language 言語
cognition 認知
motor control 運動コントロール
computational mechanisms 計算メカニズム
internal models 内部モデル
小脳といえば感覚運動コントロールや学習などだけでなく、高次脳機能や言語などに関わる事が報告されていますが、この研究では、言語についての言及がなされています。
論文のはじめの方では、小脳の全般的機能などについて説明があり、後半では言語について興味深い事が書かれていました。
このblogでは後半部のにおける言語の事について本文より参照していきたいと思います。
小脳の機能のみならず、英語学習にも役に立つと思います。
・スピーキングの予測は、人が簡単に行える活動である。
・話者は毎分2–300文字を話す事ができ、世界一の人では600文字を話すという。
・これは話者だけでなく、聞いている方も複雑な音や語彙を聞き分けるためとても難しい。
・言語学者の間では、これらの聞き取りが予測によって可能になっていると考えている
(つまり話し方や、パターン)。
・予測しやすい言葉の方が、予測しにくい言葉よりも早く読む事ができるのはよく知られている。
・正確なスピーキングのやりとりを行う時や、話者か次に話す事について予測する時には内部モデルが補助している。
・小脳は言語の予測時や、エラー検出時に活動している(下図)。
《私見》
つまり、小脳には言語の内部モデルが貯蓄されており、これが理解にも話すにも欠かせない部位である事が分かりますね。
言語の学習は無意識下にどれだけ落とし込めたかが大切だと体感していましたが、この論文から引用させて頂きますと、小脳に落とし込むと言うところでしょうか?興味深いですね。無意識的な領域に落とし込むには、よい文の反芻が重要なので、やはり英書を読んだり文法書を反復して音読する事が大切なのかもしれませんね。
2016年10月5日水曜日
正常圧水頭症におけるバランス障害の原因は何か?①
英語タイトル:Postural disturbance in patients with normal pressure hydrocephalus
著者:Blomsterwall E,
雑誌:Acta Neurol Scand 2000: 102: 284±291
PMID:11083504
この論文は正常圧水頭症(NPH)と皮質下血管性脳障害(SAE)との姿勢・歩行障害の違いなどからNPHのバランス障害の本質に迫ろうとしているものですが、論文の中に臨床へのヒントが書かれていたのでそれを紹介します。
・NPHの姿勢機能障害は圧中心(CoP)の大きな前方変位と、前後移動の困難さ、左右へのスウェイ増強、前傾姿勢の増強に特徴づけられる。
・NPH患者が歩行を行うと、足関節の硬さと足関節背屈筋群の活動低下がみられる。
・NPH症例におけるバランス障害の考えられうる解釈としては、垂直軸の感覚が障害されているという事である。
・NPHの姿勢機能障害は、橋の姿勢中枢部における垂直軸の〝誤った解釈”が原因かもしれない。
NPH症例になぜ姿勢調節障害が起こるかは、いまだに明確化されていませんが、この論文では”橋の障害で自覚的垂直軸がずれる事”としていますね。
もちろんシャント手術が第一選択である事は言うまでもありませんが、この自覚的垂直軸を元通りに近づけようとするのが一つセラピーの挑戦なのかもしれません。
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