2016年10月15日土曜日

パーキンソン病患者における振戦型か姿勢不安定歩行障害型かによる脳活動の違いは何か?

英語タイトル: Different Patterns of Spontaneous Brain Activity between Tremor-Dominant and Postural Instability/Gait Difficulty Subtypes of Parkinson's Disease: A Resting-State fMRI Study

著者: Chen HM, et al.
雑誌名: CNS Neurosci Ther. 2015.
PMID : 26387576

パーキンソン病の中でも、振戦が優位なタイプか、姿勢不安定性や歩行障害が優位に生じるタイプかによって臨床像が大きく異なりますね。
いわゆる体軸症状を呈する姿勢不安定歩行障害型では、振戦タイプよりもドーパン剤や脳刺激療法が功を奏しにくい事が分かっているそうです。
著者らはこれらの背後に潜む神経活動をタイプ別に調査しようと試みました。

参加者は31名のPD患者(うち12名は振戦タイプ、19名は姿勢不安定歩行障害タイプ)で、同年齢の健常者をコントロールとしています。
彼らはファンクショナルMRIを用いて、安静時における低周波電磁波の振幅変動を調べました。

コントロール群と比べて、振戦タイプの右側小脳皮質後部において振幅が増加しており、バランス障害タイプでは両側被殻と小脳皮質後部の振幅が低下し、上下の側頭回、上前頭葉、頭頂葉などの皮質活動が増加していたそうです。

振戦タイプはバランス障害タイプに比べて、両側被殻と小脳皮質後部の振幅が高く、両側の側頭回、左頭頂葉などの皮質活動は低かったそうです。
また、全て患者において両側小脳皮質後部の振幅増加が振戦スコアと関連し、両側被殻や振幅低下と関連したそうです(下図↓)。









被殻の活動低下がバランス低下と関連するのは何と無くイメージがつきますが、安静時の小脳の活動が振戦と関連しているというのは驚きですね。

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