2016年10月12日水曜日

正常圧水頭症におけるバランス障害の原因は何か?②

英語タイトル: Gait dysfunction in Parkinson's disease and normal pressure hydrocephalus: a comparative study

著者: Paulo Bugalho et al.
雑誌名: J Neural Transm (2013)
PMID : 23334795

この論文は主にパーキンソン病患者と正常圧水頭症患者における歩行の特徴を調査する目的で書かれていますが、イントロの部分に興味深い引用文が書かれていたので、今日はそれを引用したいと思います。


《NPHの歩行障害とは?》
・In NPH, gait dysfunction is believed to be caused by compression of frontal cortico-subcortical connections associated with ventricular dilation (Fisher 1982).
→正常圧水頭症患者の歩行障害は、脳室膨張に伴って生じる前頭皮質-皮質下連結の圧迫によって引き起こされると考えられている。

・However, some studies have proposed that mesencephalic structures could also be affected in NPH, by expansion of the third ventricle (Curran and Lang 1994; Lee et al. 2005).
→一方で、いくつかの研究では、第三脳室拡大によって中脳構造が影響を受ける為と考えられている。


《パーキンソン病の歩行障害とは?》
・PD is a neurodegenerative disorder, caused by destruction of dopaminergic neurons in the substantia nigra.
→パーキンソン病は中脳黒質におけるドパミンニューロンが破壊される事によって生じる神経変性疾患である。

・Motor dysfunction is thought to be caused PD patients present with features that do not always respond to dopaminergic treatment, and are commonly attributed to frontal dysfunction, like disequilibrium and loss of postural responses (Thompson 2001).

→パーキンソン病患者が呈する運動障害は、ドパミン薬剤療法に対していつも反応する訳ではない。近年では、前頭葉機能による平衡機能障害や姿勢反応の減少などに起因していると考えられている。


《私見》

前回、正常圧水頭症患者では軸が変移してしまっているという論文を紹介しましたが、その原因には、上記のような原因がImpairment としてあるのかもしれませんね。

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