タイトル: Gastrocnemius muscle–tendon interaction during walking in typically-developing adults and children, and in children with spastic cerebral palsy
雑誌: J Biomech. 2016.
PMID: 27545082
Keywords:
Muscle-tendon interaction: 筋-腱相互作用
Cerebral palsy: 脳性麻痺
Ultrasound: 超音波
今日はイギリス・キングスカレッジのGursharan Kalsiさん達の文献を紹介します。
彼女らは脳性麻痺児の下腿三頭筋における筋腹と腱の相互作用が、ダイナミックな場面でどの様になっているかについて興味があって、詳しく調査されています。
一般的に、一側下肢支持相では下腿三頭筋筋腹がアイソメトリック(等尺性)に活動する事で腱は伸長され、プレスウィング相では腱が反動(Recoil)し、筋腹が求心性収縮する事で筋-腱単位(MTU: Muscle- tendon unit)が素早く短くなると報告されています。
彼女達は、脳性麻痺児では筋腹が健常児よりも一般的に細い為、立脚時のアイソメトリック保持が難しくなるのではないか?(求心性収縮よりも遠心性収縮の方が力が必要な為)と仮説を立て、健常成人6名、健常児8名、痙直型脳性麻痺児8名を対象に、歩行時の三次元動作解析と二次元のリアルタイム超音波にて腓腹筋の長さなどを調べました。
こんな感じで・・。
結果、痙直型脳性麻痺児では単脚支持期で下腿三頭筋が等尺性に保てず、伸長してしまったそうです。しかも、この現象はつま先立ち歩行時も同様の結果となったそうです。
≪私見≫
超音波で筋断面を描写しながら、動作解析でアライメントも可視化する手法はとても勉強になります。臨床的に痙直型CP児が膝屈曲姿勢で歩行してしまう現象をよく見かけますが、立脚中期で下腿三頭筋のトルクが不足しているため足関節が背屈し、脛骨を後方に押し戻して保持する活動が不足している可能性がありますね。
しかし今回得られた結果とは反対に、下腿三頭筋の活動がとても強く、Back kneeでの歩行パターンになっている症例も存在する為、やはり症例によってどのような運動パターンになっているかの分析は必要であると思われます。
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